博多焼酎学大全
県の役人に変装して視察。三人の志士、灘へと向かう。
ところが、その頃の福岡の酒は、品質や風味で灘・伊丹あたりのいわゆる「上(かみ)酒」にかなわず、西南戦争後は苦戦を強いられていました。
その危機に乗り出したのが宇美の栄屋小林作五郎氏。
なんと彼を含む三人の蔵人が灘の酒づくりを探るべく役人に変装し、福岡県収税長の山形修人氏に同行して視察へとむかったのでした。いざ酷造場に入ると無我夢中に観察する小林氏らの、およそ役人らしからぬ様子はさぞ風変わりであったことでしょう。しかし、この視察を機に、彼らは福岡の酒づくりに一筋の光をみいだしていくのです。